資本金1億円基準

法人税法等の税制には、資本金を基準として適用されるか否かが決まるものが数多くあります。
その中で多いものが、「資本金1億円基準」です。


資本金1億円以下の法人は中小企業に該当するものとされて、その中小企業に対して一定の配慮をした基準です。
この資本金1億円基準には以下のようなものがあります。

1 法人税率〈区分〉法人税法第66条)
① 資本金1億円超・・・・・・30%
② 資本金1億円以下(所得金額800万円以下)・・・・・・22%


2 交際費等〈損金不算入額〉(租税特別措置第61条の4)
① 資本金1億円超・・・・・・全額損金不算入額
② 資本金1億円以下
    年400万円以下・・・・・・支出交際費等の額×10%
    年400万円超・・・・・・超過交際費等の全額


3 中小企業等者等の少額減価償却資産租税特別措置法第67条の5)
① 資本金1億円超・・・・・・非該当
② 資本金1億円以下(注)・・・・・・
    所得価額30万円未満(年300万円限度)損金算入可
 (注)大規模法人に単独で1/2以上、複数で2/3の資本が所有されていないこと。


4 貸倒引当金〈法定繰入率の適用(中小法人の特例〉租税特別措置法第57条の10)
① 資本金1億円超・・・・・・法定繰入率の適用不可(実績繰入率のみ適用)
② 資本金1億円以下・・・・・・法定繰入率の適用可(実績繰入率との選択適用可)


5 退職給与引当金〈制度廃止による取崩し〉
① 資本金1億円超・・・・・・4年間
② 資本金1億円以下・・・・・・10年間(その全額を1/10ずつ取崩す。)


6 中小企業者等の機械等の取得〈一定の税額控除・特別償却の適用〉租税特別措置法第42条の6)
① 資本金1億円超・・・・・・不適用
② 資本金1億円以下・・・・・・中小企業者等(注)特例適用可
 (注)大規模法人に単独で1/2以上、複数で2/3の資本が所有されていないこと。


7 中小企業者等の技術基盤強化のための研究の控除制度租税特別措置法第42条の4⑥)
① 資本金1億円超・・・・・・試験研究割合による限度額に対する特別税額控除
② 資本金1億円以下・・・・・・試験研究費の総額に対する割合の特別税額控除


8 外形標準課税〈適用対象〉地方税法第72条の2)
① 資本金1億円超・・・・・・外形標準課税の対象法人
② 資本金1億円以下・・・・・・所得割課税のみ適用(欠損法人は課税されない。)


9 法人住民税法人税
① 資本金1億円超・・・・・・20.7%
② 資本金1億円以下・・・・・・17.3%


10 法人住民税均等割
① 資本金1億円超〜10億円以下(50人超)・・・・・・20万円
② 資本金1億円以下(50人以下)・・・・・・7万円


実際の適用に当たっては、各税法の条文をご覧になるか、税務署等にご相談下さい。


今回、平成19年度税制改正によりこれらに加えて、中小同族会社に対する留保金課税制度が撤廃されました。
改正の内容は、
特定同族会社の留保金課税制度について、適用対象から資本金1億円以下である会社が除外
されました。


留保金課税が昭和29年に導入されて以来、画期的な改正といえるのではないでしょうか。