ホンダ、移転価格税制で申告漏れ?

ホンダは25日、中国での乗用車の生産・販売を巡り、東京国税局から法人所得の海外流出を防ぐ「移転価格税制」の調査を受けていると発表しました。
対象期間は2002年3月期から2006年3月期までの5年間で、合計で約1400〜1500億円の申告漏れの指摘を受ける見通しです。
ホンダは追徴課税に備えて、08年3月期決算で約800億円を引き当てたことを明らかにしました。
この処理は、米国会計基準の解釈指針第48号に基づくものです。

2008年4月25日


中国四輪事業の移転価格に関する税務調査について


 本田技研工業株式会社は、東京国税局より移転価格※1に関する税務調査を受けておりますが、2002年3月期から2006年3月期までの5年間について中国四輪事業から得られる収益が日本側に過小に配分されている、との主張が当局からなされています。


 当社はコーポレートガバナンスの充実を経営の最重要課題のひとつと認識しております。中国の合弁会社との取引条件についても、日本・中国両国の法令等を遵守し、適切な取引価格が実現されるよう努め、結果得られる利益に対しては日本・中国両国において適正に納税を行っております。本調査の中でもその旨を主張しておりますが、収益の配分について2008年3月31日および本日時点で当局との見解の隔たりは解消されておりません。


 当社は、米国会計基準に基づいて連結財務諸表を作成しております。米国会計基準の解釈指針第48号(FIN48※2)では、会社が行った法人税等に関する税務処理が最終的に認められない可能性がある場合、関連負債を認識する必要があると定めております。当社は、この解釈指針に基づき、2008年3月31日時点の見積もり額を、関連負債および税金費用として2008年3月期の連結財務諸表に反映いたしました。


 これは、あくまでも将来の税金費用の発生をFIN48に基づき見積もるという連結財務諸表上の会計処理であり、本日時点で税務調査の結果が出ているわけではありません。当該調査は現在も進行中であり、引き続き事実に基づく説明を、誠意を持って行い、当局にご理解をいただくべく努めております。


 なお、単独決算には日本の会計基準および会計慣行に照らして当該事象による影響を反映しておりません。


※1 移転価格税制
通常第三者間で取引される際の価格と異なる価格で関連会社間の取引が行われた場合に、その取引が独立第三者と行われたものとして、課税所得金額を算定する税制で、日本では1986年に導入されました。
※2 FIN48
米国財務会計基準審議会(FASB)が発行した米国会計基準の解釈指針第48号を指し、「法人所得税の申告が確定しない状況における会計処理」に関する解釈指針です。会社が行った法人税等に関する税務処理が最終的に認められない可能性がある場合、期末日現在の状況等に基づく見積もりにより、関連負債を認識する必要があります。当社は、2007年4月1日より同基準を適用しています。

課税処分の決定はまだなされていませんが、同額の申告漏れが指摘された場合、移転価格税制をめぐる指摘額としては武田薬品工業の約1223億円を超え、過去最大になるとみられます。
しかし移転価格税制の適用には、解釈が難しい点が多々あります。
特に技術指導料等は価格算定が難しいうえに、進出先の国の意向で価格を決めている場合もあり、税務当局と企業との間で意見が食い違うことが多いようです。


結論が出るまでには今後長期化する恐れがあります。
難しいですね。


税の海外流出防止 移転価格税制 - 商品を通常の取引価格より安い価格で海外の関連会社(子会社や親会社)に輸出すれば、国内での所得が減る一方、商品を安く仕入れた関連会社は、所得を増やすことができる。読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/special/47/naruhodo254.htm