本人確認法

皆さんは金融機関等で、免許証の提示を要求されたことはありませんか。
その根拠になる法律を「本人確認法」といいます。
正確には「金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律」(平成16年12月以前は、「金融機関等による顧客等の本人確認等に関する法律」)といいます。


この本人確認法は、金融機関の顧客管理体制の整備を促進することで、
① テロ資金供与のチェック
② マネー・ローンダリング(資金洗浄)のチェック
することを目的としています。


そして、本人確認の場面としては、
Ⅰ 取引関係の開始時
Ⅱ 大口現金取引等を行う際
Ⅲ 本人特定事項の真偽に疑いがある顧客との取引等を行う際
とされています。


この法律を適用する基準にⅡの金額が、来年から200万円から10万円に引き下げられることになりました。

ATMの現金振込「10万円」に制限・金融庁がルール


金融庁は2日、預金者が金融機関で現金を振り込む際のルールを変更すると発表した。
金融機関に対し本人確認手続きを義務づける下限を、現在の「200万円超」から「10万円超」へ引き下げる。
預金者がATMで、キャッシュカードを使わずに10万円を超える現金の取引ができなくなる。
来年1月4日から適用する。


関係する政省令を改正し、9月をメドに公布する。
金融庁はキャッシュカードを使った振込ルールも見直す。
現金振込と同様に、10万円を超えれば銀行窓口で保険証などを提示する本人確認手続きを義務づける。
金融機関がATMシステムを改良することで対応できるが、本人確認を終えていない預金者による10万円超の他行取引は受け付けない。


マネーロンダリング資金洗浄)を監視する国際組織、金融活動作業部会(FATF)が2006年末までに1000ドルまたは1000ユーロを超える振込について、本人確認を義務づけるよう勧告した。金融庁は勧告に沿ってルールを見直した。


日本経済新聞) - 8月2日


本人確認済みの方法としては、
Ⅰ 職員との面識
Ⅱ 通帳等の顧客が本人であることを示す物の提示・送付
Ⅲ パスワード等の本人しか知り得ない事項の申告等
となっています。


しかし現実には金融機関の窓口では、必ずと言っていいほど免許証等のコピーを取られます。
また1度本人確認を行っている顧客については、基本的には再度本人確認の必要はないのですが、何回も確認されるケースもあります。
法律を誤って解釈しているとしか思えない金融機関が多すぎます。


今回の改正で、今でも対応が遅い金融機関の窓口業務が、来年以降間違いなくもっと遅くなります。
金融業も今以上にサービス向上に努めていただきたいと思います。