ウサギはなぜ嘘を許せないのか?

「それじゃ正直じゃない。正しくない」。
主人公エドが、ゴディバのアイスクリームが大好きな身長190cmの大ウサギ「アリ」に、いつも言われてきた言葉です。
「アリ」はアリストテレスを愛読し、ソローの言葉を引用し、コールバックの理論に詳しい、正しいことをこよなく愛するプーカ(おとぎの国の妖精)です。


ウサギはなぜ嘘を許せないのか?

ウサギはなぜ嘘を許せないのか?


この本は、世界初のコンプライアンス小説(翻訳)です。
著者はアメリカ人です。
「利益追求型」のアメリカの方が書いているところが、面白いですね。

はじめに 公認会計士 山田真哉


PART 1 〝正しくあること〟に意味はあるのか?
人は、相手の不正が許せない。それが仕事相手なら信頼は一生築けない。
(ウサギの教え・1) ほかのみんながしていることによって、自分の倫理観をこしらえてはいけない。ほかの人たちが正直で正しいことをしているとはかぎらないのだから。


PART 2 モラルを大事にしていると、骨が折れないか?
人生の長いレースでは、モラルを破り続けるほうが余計に骨が折れる。
(ウサギの教え・2) 正直で正しいことをした報酬は、受け取るまでに時間がかかる。


PART 3 努力してまで、〝正しいこと〟を続けるメリットは?
人より多くした努力は、必ずそのぶん、大きな成功の結果となって返ってくる。
(ウサギの教え・3) 〝二者択一〟という難しい選択をすることによって、倫理的な問題を考えてはいけない。選択肢はきっと、ほかにもある。


PART 4 正直者がバカにされ、あざ笑われるのはなぜか?
笑われるのは、〝正しくしている〟証拠であり、未来の成功者への踏絵である。
(ウサギの教え・4) 短期間で手に入るものに惑わされないこと、〝短距離走者〟たちはいずれつまづく。彼らに追い越されても自信をなくさないこと。


PART 5 嫌われてもモラルを主張する必要があるのか?
声をあげなければ誰にも聞こえない。事態は「改善」に向かわない。
(ウサギの教え・5) 何も言わないことによって引き起こされる結果は、声をあげることによって引き起こされる結果より、つねに深刻である。


PART 6 〝正しいこと〟にこだわることは本当に得なのか?
目先の得ではなく、本当の利益は、モラルを守る人にしか訪れない。
(ウサギの教え・6) 正しいことをした場合の結果と間違ったことをした場合の結果を冷静に考え、正しいことをすることによってもたらされるチャンスを生かすこと。


PART 7 なぜ、〝正しい人〟はゴールが遅いのか?
大切なのは「早く」ゴールすることではなく、「悔いなく」ゴールすること。
(ウサギの教え・7) 心にみじんも重荷を感じることなくレースを終えることこそが、本当のゴールである。寝ても覚めても嘘のことが頭から離れない。そんな状態ではないことが、どれほど自由かをよく考えること。


EPILOGUE 真の成功者の、新たなため息
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


コンプライアンス
一般的には「法令順守」と訳されていますよね。
理系の用語では、「弾力性」とか「柔らかさ」という意味です。
法令順守と訳しますと、法律だけを守ればいいということになってしまいます。
法律を守ること、それも大切ですが、それだけでないのです。


「正直に生きる」。
これが、本当に大事なことですよね。