「経済財政改革の基本方針2007」のポイント

経済財政改革の基本方針2007 のポイント
〜「美しい国」へのシナリオ〜

平成19 年6 月19 日
内閣府

経済財政改革の基本方針2007 の特徴は、以下の3つの観点から、安倍内閣が取り組む課題の設定と改革の方向性を提示したことにある。


1.人口減少下における成長の実現
人口が減少する中で成長を実現し、生活の質を高く維持するために、生産性(一人あたり時間あたりの生産性)の伸び率を5 年間で5 割増に


2.戦後レジームからの脱却
戦後の高度経済成長を支え、現在は制度疲労を起こしているシステムを原点にさかのぼって見直し、時代の変化に対応したものにする


3.新たな国家イメージ(「美しい国」)の提示
自由・規律・持続可能性という要素を兼ね備えた経済社会に向けて、新しい枠組みを構築する


?.成長力の強化


1.成長力底上げ戦略〜“基礎力”を高める
・「ジョブ・カード制度」(職業能力形成システム)の構築(平成20 年度に本格実施)
・母子家庭、生活保護世帯、障害者等の就労移行に関する5年間の具体的目標を盛り込んだ「福祉から雇用へ」推進5か年計画(年内に策定)
・「中小企業生産性向上プロジェクト」の推進と最低賃金制度の充実(円卓会議で検討し、政労使合意を得て引き上げ)


2.サービス革新戦略〜“効率”を高める
電子商取引等の共通基盤の整備(平成22 年度まで)など、ITによる生産性向上
・「ユビキタス特区」(平成19 年度内を目途に創設)などICT産業の国際競争力強化
・「地域力再生機構(仮称)」の創設に向けた検討、地域密着型金融に関する監督指針の改定(平成19 年度)、3セク等に対する市場価格に基づく適正な評価等の一体的推進
・「規制の集中改革プログラム」(遅くとも年内に一定の結論)
・「サービス産業生産性協議会」を活用し、サービス・イノベーションを促進


3.成長可能性拡大戦略イノベーション〜“創造力”を高める
・革新的医薬品・医療機器創出5か年戦略(治験、薬価制度の改革等)
・世界最先端のデジタルコンテンツ流通促進法制の整備(2年以内)
・大学・大学院改革
国立大学法人運営費交付金改革(年度内に見直しの方向性)、競争的資金の拡充、9月入学(4月入学原則弾力化)、事務局改革等


4.グローバル化改革〜オープンな国づくり
WTOへの積極的取組。工程表に従ったEPA交渉の取組強化。日米、日EU等のEPAを将来の課題として検討し、可能な国・地域から準備
・「金融・資本市場競争力強化プラン」(平成19 年内を目途に策定)
−取引所で総合的な品揃えの実現、銀行と証券のファイアーウォール規制の見直し等
・航空自由化(アジア・オープンスカイ)
−「アジア・ゲートウェイ構想」の航空自由化工程表の策定、羽田の国際チャーター便(定期的なものも含む)の推進等


5.労働市場改革〜複線型でフェアな働き方の実現
・「ワーク・ライフ・バランス憲章」や「働き方を変える、日本を変える行動指針」の策定(年内)


6.地域活性化〜地域の活力なくして国の活力なし
・農地を含めた農業改革の全体像と工程表をとりまとめ(平成19 年秋)


?.21世紀型行財政システムの構築


1.歳出・歳入一体改革
・真に必要なニーズにこたえるための財源の重点配分を行いつつ、「基本方針2006」で示された5年間の歳出改革を着実かつ計画的に実施。
・平成20 年度予算は、この歳出改革を軌道に乗せる上で極めて重要な予算であることから、歳出全般にわたって、これまで行ってきた歳出改革の努力を決して緩めることなく、国、地方を通じ、引き続き「基本方針2006」に則り、最大限の削減を行う。
・「進路と戦略」で示した予算編成の原則に沿って、「新たに必要な歳出を行う際は、原則として他の経費の削減で対応する」、「税の自然増収は安易な歳出等に振り向けず、将来の国民負担の軽減に向ける」など、規律ある財政運営を行う。
・こうした歳出改革の取組を行って、なお対応しきれない社会保障少子化などに伴う負担増に対しては、安定財源を確保し、将来世代への負担の先送りは行わない。
・「公共投資に関する基本的考え方」(6項目)の提示、一般競争入札の拡大。
社会保障について、「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」(平成20年度から5年間を基本、定量的な指標及び目標年次を設定)を推進。このプログラムを踏まえ、「基本方針2006」を達成するための道筋を示す(年内)。
・「基本方針2006」(2.6 兆円程度)を上回る公務員人件費の削減を目指し、改革を具体化。


2.税制改革
・平成19 年秋以降、税制改革の本格的な議論を行い、平成19 年度を目途に、社会保障給付や少子化対策に要する費用の見通しなどを踏まえつつ、その費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本改革を実現させるべく、取り組む。
・実現すべき6つの柱の提示


3.予算制度改革
・「予算の全体像」の策定等を通じ、予算の戦略性、総合性を強化
・各年度の予算と財政健全化の中期目標との整合性を確保


4.公務員制度改革
・各府省による再就職斡旋を禁止し、官民人材交流センターに一元化。センターは平成20 年中に設置。一元化実施時期は、センター設置後3年以内。
・能力・実績主義を導入するため、能力本位の任用制度を確立
・「国家公務員制度改革基本法案」(仮称)を次期通常国会に提出


5.独立行政法人改革
・全ての独立行政法人(101 法人)を対象に、民営化等を検討し、「独立行政法人整理合理化計画」を年内を目途に策定。


6.資産債務改革


7.市場化テスト
・東京23 区内のハローワーク2か所における無料職業紹介について市場化テストを行う(平成20 年度目途)


8.地方分権改革
地方分権改革推進委員会において、国と地方の役割分担等について検討を進め、平成19 年秋に中間とりまとめ
補助金交付税、税源配分の一体的な改革に向け地方債を含め検討、地方間の税源偏在是正策、地方支分部局の抜本改革(地方への移譲・合理化)等
・“ふるさと納税”の検討


?.持続的で安心できる社会の実現


1.環境立国戦略
・「京都議定書目標達成計画」の見直し(平成19 年度中)
−「1人1日1kg」の温室効果ガス削減を目指した国民運動(サマータイム等)
・「美しい星50」に示された3提案・3原則に基づき、リーダーシップを発揮して、平成20 年北海道洞爺湖サミットにおいて、2013 年以降の枠組みづくりに成果


2.教育再生
・全ての子供たちに高い学力と規範意識を身につけさせるための機会を保障
−授業時数の10%増等
−小・中・高等学校における体験活動等の実施
(平成19 年度中に学習指導要領などの改訂)
−良き教師を確保するため、メリハリのある教員給与体系の実現
(平成20 年4月を目途に「教員給与特別措置法」などの改正)
・予算面では、第3章の「1.歳出・歳入一体改革の実現」と整合性を取りつつ、効率化を徹底しながら、メリハリをつけて教育再生に真に必要な予算について財源を確保する。


3.少子化対策・再チャレンジ支援
・有効な少子化対策の実施のためには、一定規模の効果的な財政投入の検討も必要であると考えられる。この場合、次世代育成支援の財源については、税制改革や社会保障制度改革の中で総合的に検討を進める必要がある。


4.質の高い社会保障サービスの構築
・緊急医師確保対策の推進、「新健康フロンティア戦略」の推進、がん対策の総合的な取組み等
社会保険庁の「廃止・解体6分割」と年金記録問題への迅速かつ徹底的な取組


5.治安・防災、エネルギー政策等の強化


6.多様なライフスタイルを支える環境整備

注)本ポイントは、基本方針2007 の説明用の資料として、内閣府の責任において便宜的に作成されるものであり、引用等については本文を参照ください。