経営存続が困難な可能性

2007年3月期の有価証券報告書で「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に関する注記」を記載した上場企業は、前の期に比べて17社増加して、合計39社となったようです。
この、「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に関する注記」とは、経営の存続にかかわる重大なリスクを抱えていることを意味します。


近年上場企業の倒産が増加し、不正会計や債務超過の事実が明らかになる事例が相次いでいます。
「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に関する注記」は、国際的にはすでに一般的となっていた会計慣行ですが、日本においても03年3月期より制度化されました。

● 2007年3月期から新たに存続リスクを開示した企業 (24社)
みらい建G、富士PS、エスバイエル、日特建、不二家、バナーズ、サニックス、イトヨーギョ、深川磁、松尾橋、科学冶金、中日鋳、宮入バ、エネサーブツインバード、イクヨ、ソリッドGH、ラオックス、東日グループ、九州親和HD、ロプロ、オリコ、ダイア建、グロバアクト


● 2006年3月期に引き続き存続リスクを開示した企業 (15社)
千年の杜、シンワOX、ローマイヤ日本橋ヤマシナ、コンベヤ、三洋電、森電機、日立造、三菱自、ユニオン、天竜木、キムラタンハナテン、堀田産業(上場廃止


● 存続リスクの記載を外した企業 (7社)
エコナック、不二サッシ、TOWA、シルバ精、ティアック、マミヤOP、豊和銀

ゴーイングコンサーン
going concern / 継続企業の前提 / 継続企業


 企業などが将来にわたって、無期限に事業を継続し、廃業や財産整理などをしないことを前提とする考え方。


 “企業価値”を考えたとき、「いま、清算する」ことを前提にした場合と「今後も事業継続する」ことを前提にした場合では、会計上の考え方も価値そのものも異なってくる。企業が解散する場合の価値を清算価値(liquidation value)というが、これに対して継続することを前提にした価値のことを継続価値(going concern value)という。これはキャッシュフローを生み出す力を評価するものといえる。


 ゴーイングコンサーンでない企業(例えば、大航海時代の航海ごとに作られる会社など)であれば、1回の取引(航海)が終了した時点で収支を精算することになるが、継続的に事業活動を行うことを前提にするとその区切りがない。そこで意図的(あるいは法的)に任意の会計期間を区切って収支の算出を行うことが求められる。この場合、その期の収益と費用はその期に計上しなければならない。この操作を行うために、簿記が必要となる。


 また、2003年3月期決算から、企業が財務書類で倒産リスクを開示し、公認会計士がチェックする“ゴーイングコンサーン規定”という会計ルールが義務付けられている。


 なお、この言葉は「企業には継続するという社会的使命・責任がある」という意味で使われることも多い。さらに事業の継続を前提した企業・事業体そのものを指し示す場合もある。

開示制度が始まった03年以降、初めて増加に転じました。
監査法人が監査を厳格化していることが影響しています。


投資家の判断を誤らせないようにするためには、とても良いことですね。