自民党総裁選、福田、麻生両氏が届け出

安倍晋三首相の辞任表明を受け、自民党は15日午前、党本部で総裁選の立候補者受付を行い、福田康夫官房長官(71)、麻生太郎幹事長(66)の2人が立候補を届け出ました。
自民党の存続をかけた選挙戦が23日の投開票日まで行われます。

自民党総裁選候補者の共同記者会見での発言


【閣僚人事と衆院解散】
 福田氏 (閣僚は)あえて申し上げるなら私の都合で選ばせていただきたい。国のためになる人事配置をさせてもらう。解散時期だが、解散すべきではないかという声は当然出てくると思うが、任期はあと2年ある。国会運営の状況、諸条件、諸環境を考えながら決めていく。
 麻生氏 (人事は)適材適所、これ以外にない。私の場合は派閥の推薦をいただいたわけではない。解散時期はいまの段階はとても判断材料が足りないので、申し上げることはできない。


【派閥の復活】
 麻生氏 小泉改革によって自民党をぶっ壊すという名の下に派閥の意識は大幅に変えられたことは事実。それが逆戻りするかのごときの印象を与えるのは自民党の望むところではない。
 福田氏 リーダーが右向け右といったら右という時代じゃない。私の政治行動、外交の考え方とかに賛同いただいたのではないかと思う。派閥単位で動いているとは理解してない。


臨時国会でのテロ対策特別措置法の対応】
 麻生氏 日本人もテロの被害者である現実を忘れてはならない。世界中がテロとの戦いを宣言し、日本も責任を果たす義務がある。だが、参院第一党が民主党という状況で単純延長は難しい状況だ。新法を含めていろいろ考えねばならない。自民、公明、民主3党の話し合いで世界中の理解を得られると考えている。
 福田氏 だいたい似たようなところだ。補給活動は国際社会から高く評価されており、法律の延長についてはぜひご理解を賜らねばならない。野党との話し合いはとても大事で、政権政党に求められる責務だ。


【政治とカネ】
 麻生氏 事務所費をめぐる1円以上の領収証添付は、事務の煩雑さは税金であれば当然だが、政治結社の自由も考えなければならない。
 福田氏 すべてを公開することが妥当か適当かは疑問だ。何か問題があった時には特定の第三者に書類をチェックしてもらう制度もあるのかなと思っている。


復党問題
 福田氏 党の原則は尊重しないといけない。選挙区の事情があり、勘案するが、現職を大事にする気持ちは重要だ。
 麻生氏 当選している人と当選できなかった人には差がつかないとおかしい。民意の反映とはそういうもんだと思うから。党本部として一方的に決めつけるというのではなく、県連の立場等々を十分に勘案して判断させてもらいたい。


【基礎年金の国庫負担と公共事業】
 福田氏 平成21年度までに基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に引き上げることになるが、今の財政状況でカネをひねり出すのは難しい。行政経費を節減する工夫をしなければならない。消費税も含めて手段を考えていくのは当然必要になってくる。公共事業の3%減と地方経済の問題は、悩ましい問題だが、地方にもがんばってもらい、その程度の協力はお願いしていく。
 麻生氏 毎年、社会保障関係費は1兆円ずつぐらい伸びている。2000億円ぐらい削る状況が長く続いているが、限界に来ていると感じている。福祉目的税は十分に検討すべきだ。歳出削減は限度にきつつある。歳入を増やすことも、一考すべき重大な要点だ。


北朝鮮問題】
 福田氏 昨今は北朝鮮と交渉する余地がないような非常に硬い状況だ。交渉しようという姿勢、意欲が向こうに伝わる方法がないのか工夫しなければいけない。
 麻生氏 拉致問題は明らかに非人道的な話の極み。今後も「対話と圧力」。圧力がなければ対話にいかないのは経験則ができている。日本のこれまでの対応は決して間違っていない。


【新国立追悼施設】
 福田氏 すべての戦争犠牲者を追悼できる施設はいつかできてほしい。だが、国民が嫌がるものを造るわけにはいかない。施設に敬意を表してもらえるタイミングを間違えてはいけない。
 麻生氏 追悼施設ができても、靖国神社がなくなるわけにはいかない。


【日本の方向性】
 福田氏 若い人が希望を持ち、お年寄りが安心できるような社会を作っていきたい。自立と共生の社会だ。
 麻生氏 福田さんは71歳、私は66歳で同じく元気。元気な方は頑張るべきだ。政府は小さくても強い政府、温かい政府でなければならん。


【互いの評価】
 福田氏 正直にいって私にないものをお持ちだ。一緒にやればうまくいくんじゃないかな、なんていうようなことも。ユニークというんじゃないが、私には考えつかないようなことを発想できる方。まさにこれからの21世紀的な人物だ。
 麻生氏 (私が)キャラが非常に立ちすぎているのにくらべ、(福田氏は)あまりそうじゃないんじゃないかなと。小泉内閣で首相をバランス感覚よく支えておられたが、私はあれほど辛抱はよくないなと拝見した記憶がある。


注目すべき点は、小泉内閣以来の構造改革の修正及び消費税率の引き上げに両氏とも前向きな姿勢を示したことです。
税制改革が加速するかもしれませんね。