税理士の使命と倫理

大阪の税理士が詐欺容疑で逮捕されました。
決算書を改ざんして、ローンを騙し取ったという罪です。
いわゆるB用決算書というやつです。


我々のクライアントは、ほとんど中小企業です。
当然、脆弱な基盤をしています。
その中身が解っているがゆえに、この税理士はクライアントに頼まれて決算書の改ざんをしたのだと思います。

○税理士を詐欺容疑で逮捕=決算書改ざん、ローンだまし取る−大阪
(時事通信社 - 09月14日 16:11)


銀行の融資審査で提出する決算報告書などの数字を改ざんして偽造し、都市銀行からビジネスローンの借入金をだまし取ったとして、大阪府警捜査2課などは14日、詐欺の疑いで、同府寝屋川市堀溝北町、税理士杉本靖也(69)、大阪市此花区梅香、元電気工事会社役員河本弘(49)ら3容疑者を逮捕した。


調べに対し、杉本容疑者は「報酬をもらえるので、数字を改ざんした」などと話しており、3容疑者とも容疑を認めている。


調べでは、河本容疑者が実質的経営者の同市中央区の電気工事会社=廃業=が銀行からビジネスローンで金を借り入れるため、杉本容疑者が同社の決算報告書などの数字を改ざんして返済能力があるように見せ掛け、2003年12月ごろ、同府枚方市内の都市銀行支店から融資金約5,000万円をだまし取った疑い。 


難しい問題です。
クライアントを守りたいがためにやった行為であって、決して騙し取るつもりはなかったものだと思います。
またこの会社が倒産せずに、きちんと借金を返したのならば、表面化しなかった問題かもしれません。


しかし、不正は不正です。
当然、許される行為ではありません。


chika-chanの事務所の経営理念「自利トハ利他ヲイフ」の「他」、これは相手だけを指すのではありません。
自分以外のたくさんの人を指します。
相手だけの利益を優先することにより、他の多くの人の利益を損なうようであれば、当然クライアントの要請に答えられないこともあります。
そこには厳格さが必要となります。


「自利トハ利他ヲイフ」
それは禅問答のようなものです。