年金制度

年金不信が深刻な状況です。
このたび毎日新聞の行った調査で「近い将来破たんする」と答えた人が59%にも上りました。

<年金調査>「近い将来破たん」59%に 40代不信感強い


毎日新聞が実施した全国世論調査(面接方式、今月1〜3日)で、国の年金制度について聞いたところ、「近い将来破たんすると思う」と答えた人が59%に上った。年代別では、既に年金を受け取っている70代以上は37%と比較的少なかったが、40代は77%に達し、現役世代が公的年金に強い不信感を抱いている実態を裏付けた。「破たんするとは思わない」と回答したのは、全体の39%だった。


年金制度を維持する方策については、「給付水準をカットし、現役世代の負担は増やさない」が40%で最多。ただ年代別にみると、20、30代は47%だったのに対し、60代は32%、70代以上も34%で、世代間の違いが浮き彫りとなった。「現役世代の負担を引き上げ、給付水準を維持する」(全体で27%)は、70代以上が34%だった半面、20、30代はそれぞれ24%、21%だった。


一方、公的年金にどの程度頼りたいかとの問いには、38%が「公的年金を中心に、貯蓄や民間保険で補う」と答え、「全面的に頼りたい」も36%だった。40代も52%が「公的年金中心」で、不信を持ちながらも公的年金に頼らざるを得ない厳しい現実をうかがわせた。
 

消費税を社会保障目的税化して引き上げ、年金財源に回すことの是非は、「反対」が53%で「賛成」の43%を上回った。男性は賛成が50%だったのに対し、女性は37%。年代別では、60代の52%、70代以上の50%が「賛成」と答えたが、他方、若い世代ほど反対が増え、20代の「賛成」は32%にとどまった。支持政党別では、自民支持層は53%が賛成したが、公明党は45%と与党内での温度差も表れた。


毎日新聞) - 9月17日

実際あまり知られていませんが、厚生年金の給付率は50%を確保することになっています。
この給付率というのは、年金の給付が現役時代の手取り収入の50%という意味です。
この50%という数字が達成できれば、まずまずの数字(手取り)だと思います。
(ただしあくまでも、夫が40年間会社員として働き、平均的な収入(約572万円)を得、妻は40年間専業主婦というモデル世帯に限ります。)


この給付率については、年収が平均よりも多い場合は給付率が下がり、平均よりも少ない場合には給付率は上がります。
厚生労働省の試算では、年収780万円なら給付率は42.3%、年収312万円なら73.0%となっています。


そして年金の受取額については、厚生労働省が現在0歳の赤ちゃんでも支払い保険料の1.2倍の年金がもらえるという試算(保険料率、最終的に18%と想定)を出しています。
しかも、保険料のうち半分は企業(雇用主)が支払っていますので、実際に個人の負担は半分ですむのです。

1935年生 年金受取額は納付保険料の8.3倍
1965年生 年金受取額は納付保険料の2.7倍
1985年生 年金受取額は納付保険料の2.3倍
(いずれもモデルケースの場合です。また納付保険料には企業負担分は含まれていません。)

従って、民間の生命保険会社がやっている個人年金よりも、利率換算すると良いことは明らかです。


本来、年金制度は損得で考えるものではない制度です。
自分の老後資金は自分で作ることができるという人ばかりだとすると、年金制度は必要ありません。
助け合いの仕組みを社会で作りましょうというのが、日本を含む多くの国で採用されている賦課方式という年金制度です。
現役世代が引退世代を助ける「世代間の助け合い制度」です。
この賦課方式という制度は、もともと「将来世代が損することが明らかな」制度です。


相互扶助の精神もなくなりつつある日本の将来はどうなるのでしょうか。