景気拡大57か月

大田弘子経済財政担当相は12日、10月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出しました。
「景気は回復している」との基調判断を維持、02年2月に始まった今回の景気拡大期は10月で4年9か月目に入り、戦後最も長かった「いざなぎ景気」(65年11月〜70年7月)に並んだそうです。
来月11月には58か月となり、戦後最長を更新するのは確実です。
会議終了後の記者会見で、経財相は「日本経済はようやく正常に戻ってきた」と評価しています。
はたして本当なのでしょうか。


仕事柄良く判るのですが、まったく実感がわいてきません。
景気回復の中身が無いからです。

<月例経済報告>「豊かさ」は「いざなぎ景気」に及ばず


 今回の景気拡大期が、戦後最長の「いざなぎ景気」と並んだのは、米国、中国経済の好調による輸出増加と、企業のリストラによる生産性向上に支えられ、息の長い回復になったためだ。しかし、物価下落(デフレ)や企業の人件費抑制などのあおりで、回復の実感は乏しく、こうした実態が国民の「格差意識」拡大を招いているとの見方も出ている。関係閣僚会議では「地方経済や中小企業との景況感のばらつきを詳しく分析すべきだ」との意見が相次いだ。


■低い成長率
 高度経済成長期と重なる「いざなぎ景気」では、四半期ごとの実質国内総生産GDP)成長率は平均11.3%、より実感に近いとされる名目GDP成長率は17.5%に達した。しかし、今回の回復期の実質GDP成長率は2.3%、名目GDP成長率は1.0%に過ぎない。期間の長さではいざなぎに並んでも、景気回復の勢いや、国民生活にもたらした「豊かさ」の程度は、はるかに及ばない。


■構造改善を優先
 こうした形になったのには理由がある。バブルの崩壊後に、日本経済で顕在化した「三つの過剰」(雇用・設備・債務)を解消するため、企業は、人件費の抑制に本格的に踏み切り、正社員に代えパートや派遣など非正規雇用を増やした。不良債権処理を急いだ銀行は、問題企業からの融資を引き揚げ、企業倒産急増の引き金を引いた。
 この調整過程を経て、日本の企業は生産性を高めた。金融システム不安は一掃され、景気回復の長期化で需給も改善。90年代後半から続いてきたデフレからの脱却は目前に迫った。


■「実感」はいつ?
 今回の回復は、自動車などの輸出企業が立地している地域や大都市部が主役。一方、これまで地方経済を下支えしていた公共事業の削減で、企業業績改善の恩恵を受けない地域では依然、低迷が続いている。また、米国経済の減速を背景に、賃金の伸びが鈍る兆しも出始めた。熊野英生・第一生命経済研究所主席エコノミストは「賃金が上がらなければ、家計に景気回復の実感は出てこない。実感が出るのは、来年以降、景気が再加速してからではないか」と指摘する。


毎日新聞) - 10月13日


本当にそうですね。
地域間格差は広がっています。
大企業と中小企業との企業間格差も広がっています。
また正社員と非正規雇用者との収入格差が拡大しています。
正当な競争により格差が出来るのは良いことなのですが、そうでないところに問題があります。


本当の意味での景気回復となるのはいつなのでしょうか。
それとも、景気回復はないのでしょうか。