島根県、療養病床226減

医療制度改革の一環として医療機関の療養病床が削減されていますが、島根県内においても同様の状況が続いています。
この制度の狙うところは、医療以外の理由で必要のない入院を続ける「社会的入院」の解消です。


患者の自己負担を増やしても期待した効果が得られなかったため、今回は、長期療養患者のための療養病床の削減を打ち出しました。
社会的入院を余儀なくされていた高齢者はどうなるのでしょうか。

療養病床226減 4〜8月県も実態調査開始


国の医療制度改革に伴い、高齢の長期入院患者が利用する療養病床の削減が全国で相次いでいる問題で、県内でも今年4〜8月で、一般病床への転換などにより療養病床が226床減っていることが、県高齢者福祉課の調べでわかった。
7月から始まった療養病床の診療報酬引き下げが影響したとみられ、同課は10月から、療養病床を持つ県内の医療機関を対象に実態調査を始めた。


療養病床には、医学的管理が必要で医療保険の適用を受ける医療型(全国25万床)と、介護保険を適用する介護型(同13万床)がある。
医療の必要性が低い「社会的入院」を減らすため、国は2012年度までに医療型を6割に削減、介護型を全廃する方針を決め、今年7月から医療の必要度に応じて患者を振り分けて最も軽いケースでは診療報酬を約3割引き下げた。


このため診療報酬削減による経営悪化を避けるため、療養病床を廃止したり、一般病床に転換したりする動きが全国で相次ぎ、県内でも8月末までの5か月間で11医療施設が計338床の療養病床を一般病床に転換するなどの増減があり、3月末に医療型1994床、介護型1126床だった療養病床は、8月末現在でそれぞれ1818床、1076床に減少した。


療養病床がなくなれば患者は在宅か介護施設に移ることになるが、現状では受け皿作りが追いついていない。
県高齢者福祉課は「実態調査で、療養病床の現状や患者の状態、医療施設側の今後の意向などを確認する。
来年秋策定の地域ケア構想に反映させて適切に対応したい」としている。


県保険医協会は「余裕のある病院では一般病床への転換もできるが、経営体力の弱い診療所では診療報酬の引き下げで療養病床を維持できず、やめざるを得なくなっている。
老健施設にも待機者が多く、高齢者が行き場を失う恐れがある」と指摘している。


(2006年10月21日 読売新聞)


ケア付き高齢者住宅の整備率が高齢者人口の5%前後の欧米に比べ、日本は1%前後しかなく、今後は介護難民の問題が発生する恐れがあります。
また、島根県のように高齢化が進んでいる県では、高齢者が高齢者を介護しているのが現状であり、いわゆる介護疲れに陥る恐れがあります。
そしていずれは介護が出来なくなるのです。
また核家族化が進んだことも、介護を難しくしている要因の一つになっています。


しかし実際に医療ではない入院が有るのも事実です。
医療費削減のために療養病床を削減するのが先か、介護保険施設を充実させるのが先かというジレンマの中、今回の制度改革に踏み切っています。
無塚しい問題です。